満州の記憶にうなされた元巡査
どんな伝承か
岡山県御津郡のKさんは、パーキンソン氏病を患って亡くなった。生前は酒をよく飲み、泥酔すると突然「来た」「殺される」「殺せ」と物騒なことを叫んだ。病で寝ているときも夜中に飛び起きて同じように叫び、家族を驚かせた。農家の次男で財産がなく、巡査となって満州へ渡り、末端の巡査として中国人を虐殺したり死体を捨てる仕事をたびたびした。現地召集で海兵隊に入り、ビルマ・スマトラ・ブーゲンビル島など南方を転戦して生還した。うなされるのは満州で殺したことなどの夢を見るからだと語ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。