催眠で語られた前世と足裏の文字
どんな伝承か
岡山県西大寺市東宝伝の話。中学校校医の坂江守夫は内科医だが、催眠療法で登校拒否や学習不振の生徒の原因究明を行っていた。東宝伝に住む事業家折原啓太郎の三女淳子(十三)の前生記憶に驚嘆したという。淳子は十五年前、東京都深大寺近くの小野家の娘で菊子といい、五歳の時に母はま子が肺結核で死に、自分も間もなく同じ病で死んだ。魂は体を焼かれるのを見るのが嫌で宙を飛び、広島県神石郡油木町仙養ヶ原の農家に迷い込んで牛小屋の子牛ジロベーと暮らし、やがて岡山の折原家へ生まれ変わったという。淳子の体の三か所のホクロには斧・琴・菊の字が浮かんでいた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。