吉備津神社の鳴釜神事
どんな伝承か
吉備津神社の御竈殿では鳴釜の神事が行われている。吉備津神社略記によれば、ある夜、祭神の夢に温羅が現れ、妻の阿曽の羽振の娘である阿曽姫に御竈殿で神の御食を炊かせるので、世に事があれば釜の前に来るように、幸いなら豊かに、禍いなら荒々しく鳴って知らせると告げたのが始まりと伝える。阿曽女が玄米を入れた器を釜の上で振り、神職が祝詞を上げると釜が鳴り、その音の大小や長短で吉凶を占う。この神事は室町期に始まったらしいという。
原典より
阿曽女が玄米を掻き筒に入れて釜の上で振り、神職が前に侍って祝詞を奏上すればお釜鳴りたまう。—— 怪談の世界(山田野理夫・1978年(昭和53年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
怪談の世界(山田野理夫・1978年(昭和53年))
『怪談の世界』は、山田野理夫が昭和五十三年に著した怪談の研究随筆である。遠野での佐々木喜善と柳田国男の出会いから説き起こし、家・山・木・石・道・水・火に現れる妖怪、憑き物、鬼と天狗、生霊・死霊・幽霊の話を、著者の聞き書きや各地の民俗資料、古典・芝居から集め、沖縄の話で結ぶ。章立ては江馬務と柳田国男の妖怪分類を参考にしたもので、民俗学の資料と文学作品の両面から怪談をとらえようとしている。