通夜の無言電話と水を求める亡夫
どんな伝承か
東野町外表の女性は、七年前に夫を不慮の死で亡くした。悲しみの通夜の真夜中に電話が鳴り、受話器を取っても返事がない。人の不幸をよそにいたずら電話だろうと思いつつ、広島の奥に住む娘へ念のため電話をかけると、娘は電話などしていないと言い、不眠症の身を夜中に起こされたとさかんに叱られた。のちに娘から、死んだ人が電話をかけてくる例はよくあると聞かされ、そうかもしれないと今も思っているという。夫はその後もしばしば大きく夢に現れ、あるときは「水が欲しい」と一言いった。急いで墓参りに行くと、特大の石の水入れの水が空になっていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。