夢枕の僧が告げた邸内社と天狗の間
どんな伝承か
石川県羽咋郡志賀町福野の語り手の家には天狗の間があり、神様が祀られていた。語り手の父は体が弱く、曾祖父が案じていたところ、墨染めの衣を着た僧が曾祖父の夢枕に立ち、あそこのモチの木の枝で玉串を作り、その傍らに一夜造りの質素な宮を建て、五十年に一度ずつ建て直せと告げた。言われたとおり屋敷内に社を建てると父の体は丈夫になり、天狗様にも天狗の間から新しい社へ移ってもらったので、それ以来天狗の間に天狗様はいないという。語り手が父の雄谷助夫から聞いた話である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。