白木の森に寝所を求めた蛇神
どんな伝承か
滋賀県の余呉湖の西岸に、岬のように突き出た森があり、村人は白木(新羅)の森と呼んでいる。杉はさほど大きくないが昼でも暗い所で、以前は蛇神を祀る白木社があったが、近年、北野神社に合祀された。昭和二十三年、この地の大工の娘の夢枕にその蛇神が立ち、五、六町離れた北野神社へ毎晩寝に通うのは不便なので、この森に寝る所を建ててほしいと頼んだ。そこで父の大工は、もとの白木社のあたりに小さな祠を造ったという。賤ヶ岳から余呉湖へ遊んだ筆者が耳にした話である。
原典より
私の家には天狗の間があり、そこに神様がおられたんですけど、私の父が体が弱くておじいさん(私にとってはひいじいさん)が心配していたんですね。—— 現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。