夢枕に立った売られた馬の供養
どんな伝承か
若生みはるの舅は、農業のかたわら荷車を引き、塩や米や炭を積んで富谷から仙台や石巻へ通っていた。馬には、死んだら立派に供養してやるから稼げと言い聞かせていたが、年老いると他村へ売り払い、売った先を誰にも明かさなかった。やがて、家を出ていた末息子の夢枕にその馬が立つようになる。巫女に拝んでもらうと、馬はすでに死んでいて供養を求めているとの答えだった。舅は口を閉ざしたままだったが、みはるたちは内々に供養して墓を建てた。それきり馬が夢に現れることはなくなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。