屋根をかすめた火の玉と揺れる表戸
どんな伝承か
大阪府泉北郡忠岡町、尾池兼雄さん(昭和三年生まれ)の体験。小学校四年生くらいの時、向かいのごうだ家のたまえというおばさんが亡くなった夜のこと。島では家に鍵をかけないが、その夜、家の表の戸がグワーッ、ガタガタガタと揺さぶられるように鳴った。誰が揺さぶっているのかは分からない。しばらくして止むと、今度は真隣りの家の雨戸をグワーッと鳴らした。後になって、母親と隣りのおばちゃんが、たまえは子どもが二人いるから子どもを頼むと雨戸を鳴らしたのだろうと話していた。その後、たまえさんの子を一人、尾池家が引き取って育てた。亡くなる二、三日前には、屋根すれすれを紫や赤や青にちかちか光る火の玉が飛ぶのも見たという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。