山吹一枝に託した蓑なきわび
どんな伝承か
高田馬場のあった新宿区戸塚町一丁目のあたりは、源頼朝が軍勢を勢揃いさせた地とも、武田信玄が馬を調練した地とも伝えられる。あるとき太田道灌が高田富塚で狩りをしていると、にわかに雨が降り出した。人家もない野でようやく粗末な家を見つけ、雨具を貸してほしいと声をかけると、十三、四ばかりの少女が山吹の花を一枝手折って差し出した。意味が分からず不興のまま立ち去ったが、のちに家臣の中村重頼から、実のひとつだになきという古歌にかけて蓑がないことを託したのだと聞かされ、道灌はいたく感じ入ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
城西風土記と昔語り(熊沢宗一・昭和初期~昭和中期)