女夫淵の鬼面と吉崎の嫁おどしの面
どんな伝承か
大野郡北郷村の女夫淵の伝説では、女が神殿の古い鬼の面を顔に当てると、面が顔にくっついて離れなくなったと語られる。著者はこの説明が吉崎の嫁おどしの面の解説にもなるとし、昔の人々にとって仮面をかぶることは、その面の表す人ならぬものに身を変えることを意味し、面が顔の肉に貼りついて離れないという語り方は、神と人が一つになるという考えがあって初めて成り立つと述べている。
原典より
(この場合、吉崎の嫁おどしの面の解説にもなるが、前代社會意識に於ては、假面を被る行爲は、人間がその假面の表現してゐる異人的構造に轉化するといふ象徴に屬してゐる。—— 福井縣鄕土誌 民間傳承篇(中塩清之助(編)・福井縣鄕土誌・1939年(昭和14年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
福井縣鄕土誌 民間傳承篇(中塩清之助(編)・福井縣鄕土誌・1939年(昭和14年))
『福井縣鄕土誌 民間傳承篇』は、福井市立実科高等女学校の郷土誌第二輯として教諭中塩清之助が編み、昭和十四年二月付の学校長金岡正孝の序を巻頭に置く。丹生郡の名、哭女、越前萬歳、仏の舞、幸若舞、猫塚、隠れ里、子育て幽霊、愛発の関、弁慶譚、八百比丘尼、水の神女譚を、古文献や他地方の類例と照らして論じる。生徒が集めた県下の昔話は類話をA・Bなどに分けて並べて解説を付し、校正者大村四朗の跋を添える。