二つに切られた身代わり観音
どんな伝承か
帰雁記は、御簾尾という所に竜沢寺という古寺があり、これも曹洞の派で、開山の梅山和尚は奇特の聞こえ高い僧だったと記す。修行のころ、ある民家に宿ったところ、深く酒に酔って帰ってきた主の男が、僧を泊めたことを怒って僧を害した。夜が明けて酔いが覚め、あたりを見ると僧はもとのまま座している。不審に思って尋ねると僧にも心当たりがなく、常に持つ観音の力かと包みを開いてみると、尊容が二つに切られていた。主は驚き悲しみ、夫婦ともに髪を下ろして受戒したという。その観音は今もこの寺にあると伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第6巻』所収の「文化叙事伝説」全44話(福井・富山・石川=北陸)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。