利仁が敦賀でふるまった芋粥
どんな伝承か
藤原基経に仕えた藤原利仁は、福井の敦賀に荘園を持っていた。ある正月、基経の屋敷で開かれた宴の残りを家来たちが食べていると、五位にまで出世した侍が、いつになったらこのうまい芋粥を飽きるほど食べられるのかと嘆いた。それを聞いた利仁は、存分に食べさせてやろうと約束して彼を敦賀へ連れて行った。その夜、太さ三寸、長さ五尺の芋を一本ずつ持って来いと下人たちに触れる声が響き、翌朝には五、六尺もの芋が軒先まで積み上げられていた。大釜で炊いた粥を五位は飽きるほど食べ、一か月ほどもてなされたうえ、絹や綿、鞍を置いた馬まで贈られて帰ったという。
原典より
あくる朝、五位が起きて見ると、長さ五、六尺ばかりのイモが、軒先までうず高く積み上げられていた。—— 江戸動物民話物語(窪田明治) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
江戸動物民話物語(窪田明治)
『江戸動物民話物語』は、「郷土史・東京」の刊行会を主宰した窪田明治が、東京の郷土史を調べた材料から江戸の民話を選んでまとめた本である。狐や狸、猫、蛇が人を化かし、恩を返し、祟る話を中心に、本郷・王子・向島・麻布・三田など東京各地に伝わる話を収める。狐・狸・猫・蛇・不思議な生き物の五部に分け、一話ごとに舞台となった土地の史跡や寺社の由来、沿革の解説を添え、まえがきとあとがきを付す。