弘法大師の布巾で顔が変わった話
どんな伝承か
諸国を巡る弘法大師がある大尽の家に立ち寄ると、その家の下女が飯を出してもてなした。大師は疱瘡を病んであばた面だったが、汚れた布巾で顔をなでればきれいになると言ってなでると、見違えるほど美しい顔になった。下女がその布巾をもらい受けて顔を拭くと、あばたが治ってきれいな顔になった。それを聞いた家のおかみさんが布巾を借りて毎日顔をなでたところ、今度はあばたがうつって、おかみさんの顔があばた面になってしまったという。桐生市梅田町皆沢で採録された話である。
原典より
ある時、弘法大師が諸国をまわっている時、ある大尽の家へ立寄った。—— 群馬県史 資料編 27(群馬県史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
群馬県史 資料編 27(群馬県史)
『群馬県史 資料編 27』は、群馬県の県史の資料編の一冊で、収めるのはその「第三章 伝説」である。伝説の定義と分類、『神道集』や近世の地誌から明治以降の郡村誌・伝説集に至る県内の調査の歩みを述べ、赤城と日光の神戦、赤堀道元の娘と木部姫の入水、文福茶釜、羊太夫、弘法伝説などを群馬の伝説の特色として論じる。続いて代表例を自然的・社会的・信仰的伝説の三つに分け、各地の口承と古記録を伝承地を添えて並べる。