おばあさんの小便で酒が絶えた樽湧き
どんな伝承か
昔、上屋敷の又平だいらに、おじいさんとおばあさんが住んでいた。いつの頃からか、おじいさんは夕方になると酒を飲んだような様子で戻ってくるようになり、そんなときは口が悪くなっておばあさんの悪口を言った。おばあさんは、どこで酒を飲むのかとあとをつけると、清水があって、おじいさんはそこでうまそうに水を飲んでいた。あとで自分も飲んでみると、それはおいしい酒だった。しかし、おじいさんが酒を飲んでは悪口を言うのに嫌気がさしたおばあさんは、腹を立ててその清水の湧き口へ小便をした。するとそれきり酒は出なくなり、ただの水になってしまった。今でもその清水の湧き口を樽湧きと呼んでいる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
群馬県史 資料編 27(群馬県史)
『群馬県史 資料編 27』は、群馬県の県史の資料編の一冊で、収めるのはその「第三章 伝説」である。伝説の定義と分類、『神道集』や近世の地誌から明治以降の郡村誌・伝説集に至る県内の調査の歩みを述べ、赤城と日光の神戦、赤堀道元の娘と木部姫の入水、文福茶釜、羊太夫、弘法伝説などを群馬の伝説の特色として論じる。続いて代表例を自然的・社会的・信仰的伝説の三つに分け、各地の口承と古記録を伝承地を添えて並べる。