蕪の穴から湧いた甘い酒
どんな伝承か
むかし、あるところにひどく貧しい爺様と婆様がいた。食べるものがないので、垣根のところに植えておいた蕪が一本大きくなったのを、毎日毎日欠いては食べていた。ある日、婆様が蕪の葉をもごうとしたところ、蕪がぐれっとむくれてしまった。これがなくなれば食べる物がないと嘆いていると、そのむくれた穴から酒がこんこんと湧き出した。爺様と婆様が飲んでみると、なんとも甘い酒であった。あまり湧くので酒屋を始めると、甘い酒だからよく売れ、大金持になって安楽に暮したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第1巻』は、叢書『日本伝説大系』のうち北海道と青森県の伝説を収めた巻である。人間の始めやコロポックル、アイヌの神謡、岩木山一代記、おしら祭文、義経や弘法大師の事跡、狐や大蛇の話、地名や神社の由来などを、口承の資料を中心に採る。伝承地を記した例話を冒頭に置き、〔類話〕〔文献〕〔参考〕の欄で各地の類話の梗概と近世以後の文献の原文を添える編み方をとる。