大根の穴から酒が湧く炭焼長者
どんな伝承か
和賀郡に行われている炭焼長者の話。木樵が二人で山に泊まり、同じ夢を見た。二人の家に男と女の子が生まれ、女の子は塩一升に盃一つ、男の子は米一升の家福だと山の神の御告げがあった。翌日帰ると果たして子が生まれていた。成長して夫婦となり家は繁昌したが、女房が塩を一日一升使い、酒を絶やさず大気に振る舞うので、小心な夫は離縁してしまう。出された女房が腹が減って大根島で大根を抜くと、その穴から酒が湧き出た。歌いながら飲んで行くうち日が暮れ、山中の一つ家の鍛冶屋に無理に泊めてもらうと、翌朝は鍛冶場のものが何もかも金であった。それを主人に教えて町へ持ち出し、売って長者になったら、そのあたりが町になったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第1巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第1巻』は、柳田国男の著作を集めた著作集の一巻である。椰子の実の漂着から日本人の渡来と稲作を海の道に求める論考と、海神宮考・みろくの船・根の國の話・寶貝のこと・稻の産屋などの諸篇、大正期の南島旅行に基づく『海南小記』、昭和二十六年八月の自序をもつ『島の人生』を収める。いずれも海と島を舞台に、ニライカナイや宝貝、漂着や島の復興をめぐる民俗と歴史を論じている。