小町の瘡を癒した後賀の石薬師
どんな伝承か
出羽の郡司小野良実の娘小町は和歌の才で朝廷に仕えたが、年老いて父の任地へ帰る旅の途中、病で全身に瘡ができ旅を続けられなくなった。神仏に祈ると夢に、上野国甘楽郡小幡谷の鏑川のほとりにある小野の石薬師がよく効くとの告げがあった。小町は後賀の石薬師を拝み、近くに堂を建てて住んだが、なかなか治らない。そこで薬師に諸願が叶わぬなら仏の名が惜しいと歌で訴えると、夢に薬師が現れ、村雨はほんの一時のもの、蓑笠をそこに脱いで置けと返歌した。目覚めると瘡は跡形もなく消えており、小町は塩を供えて礼とし、再び旅立った。その後、塩薬師の鉱泉を沸かして入ると瘡がきれいに治るといわれる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
群馬県史 資料編 27(群馬県史)
『群馬県史 資料編 27』は、群馬県の県史の資料編の一冊で、収めるのはその「第三章 伝説」である。伝説の定義と分類、『神道集』や近世の地誌から明治以降の郡村誌・伝説集に至る県内の調査の歩みを述べ、赤城と日光の神戦、赤堀道元の娘と木部姫の入水、文福茶釜、羊太夫、弘法伝説などを群馬の伝説の特色として論じる。続いて代表例を自然的・社会的・信仰的伝説の三つに分け、各地の口承と古記録を伝承地を添えて並べる。