女神ゆえの禁忌と御神木マトギの作法
どんな伝承か
岐阜県大野郡丹生川村では、山の神さまは女性だから男以外は山へ入ってはいけないという。山で弁当箱を洗うことや、化粧して帰ることも禁じられている。山の入口にはたいてい大木があってしめ縄がかかっており、この木は山の神さまが遊ばれるご神木でマトギあるいはマドギと呼ばれ、そこに山の神さまが座っておられる。二月九日は山の神さまの日で、木の種をまく日とされ、ご神木の前にひえと豆を一二個ならべ、餅や酒を供える。どうしてもご神木を伐らなければならない時は、木を三度たたいて合図し、「七尾のキツネ、八尾のハチロウジ、この木を伐るぞ、ハチロウジ」と三度唱え、山の神さまが降りてこなければ伐ってよいという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 9 (木霊・蛇)』は、松谷みよ子が全国の回答者から寄せられた報告と各地の民話集をもとに編んだ『現代民話考』の一巻である。明治から平成にかけて語られた、伐ろうとすると祟る木・泣く木・血を流す木などの木霊の話と、大蛇やつちのこ、蛇婿・蛇女房、主や守り神としての蛇、蛇と福運などの話を、話者や回答者の名とともに収める。第一章「木霊」と第二章「蛇」を主題ごとの節に分け、各話例の後に「分布」として類話の地名と出典を並べる。