隣家のくるみを伐って老人が癒えた
どんな伝承か
昭和四〇年頃のこと。語り手の家の近くに住む年寄りが、ある日訪ねてきてこう言った。近ごろ体の具合が悪いので手相を見てもらったところ、寝間の近くにくるみの木がある、それが原因だと言われた。帰って庭を見たら、その木は自分の家のものではなく、お宅のものだった。何とかしてもらえないか——。そこで語り手はさっそくこの木を伐った。すると年寄りはすっかり元気になり、おかげさまでと礼を言いに来たという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 9 (木霊・蛇)』は、松谷みよ子が全国の回答者から寄せられた報告と各地の民話集をもとに編んだ『現代民話考』の一巻である。明治から平成にかけて語られた、伐ろうとすると祟る木・泣く木・血を流す木などの木霊の話と、大蛇やつちのこ、蛇婿・蛇女房、主や守り神としての蛇、蛇と福運などの話を、話者や回答者の名とともに収める。第一章「木霊」と第二章「蛇」を主題ごとの節に分け、各話例の後に「分布」として類話の地名と出典を並べる。