古株から芽吹いた太閤袖摺りの松
どんな伝承か
JR山崎駅のすぐ前に妙喜庵という禅刹がある。境内の茶室は待庵と称し、千利休の建てたもので国宝になっている。この茶室に寄りかかるようにして大きな松が立っていた。江戸時代の地誌には必ず載る「太閤袖摺りの松」である。昭和四二年、老齢に加えて松喰虫の害を受け、枯れる寸前になった。やむなく伐り倒されたが、これほどの銘木が枯れるのを惜しんで、その材から「老松」の銘で茶道具がいろいろ作られ、大変珍重された。ところが人の心が通じたものか、まもなく古株から元気のよい芽が一本吹き出し、いまでは屋根を越す高さになって枝を広げ、人々に喜ばれている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 9 (木霊・蛇)』は、松谷みよ子が全国の回答者から寄せられた報告と各地の民話集をもとに編んだ『現代民話考』の一巻である。明治から平成にかけて語られた、伐ろうとすると祟る木・泣く木・血を流す木などの木霊の話と、大蛇やつちのこ、蛇婿・蛇女房、主や守り神としての蛇、蛇と福運などの話を、話者や回答者の名とともに収める。第一章「木霊」と第二章「蛇」を主題ごとの節に分け、各話例の後に「分布」として類話の地名と出典を並べる。