諏訪社に縄を張った杉さんと明治の大水
どんな伝承か
下町の鎮守である諏訪神社は、明治四三年の夏まで生野山の中腹に鎮座していた。その境内も部落の物持ちである杉さんの個人所有の土地で、長い間一銭の地代も納められないことに業を煮やした杉さんは、この年、部落の代表と掛け合った。代表は下町には貧しい者が多いと低姿勢で懇願したが、杉さんは社の周囲に縄を張り巡らせて誰も入れないようにした。九月一七日の祭りを控えて部落の者は弱り果て、急遽、田の真中に仮宮を建てた。明治四三年の大水はその直後で、杉さんの裏山は崩れ、家は一夜にして潰され、一家七人が下敷きになって死んだ。お諏訪さまの御神体は大蛇だと語り伝えられ、蛇水の祟りに違いないと噂された。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考・昭和〜平成)