旅僧殺しの家に残る実らぬすもも
どんな伝承か
昔、二重の横山に、多くの奉公人を抱えて贅沢に暮らす家があった。宿を求める旅人のうち金のありそうな者だけを泊め、泊まった者は二度と姿を見せなかったという。ある晩、大きな袋を担いだ旅の僧が泊まると、家でいちばん欲深い婆が夜中に忍び寄り、斧で僧を打ち殺した。ところが袋を開けても、真っ赤に熟したすももの実が詰まっているばかりで、婆は気が狂って死んだ。やがて一家も絶え、あたりには実のならないすももが生えるようになったと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
長野県史 民俗編 第3巻 3 (中信地方 ことばと伝承)(長野県史)
『長野県史 民俗編 第3巻(三) 中信地方 ことばと伝承』は、長野県史の民俗編のうち中信地方の巻から、伝説の章を抜き出したものである。木・石・水・塚・坂と道・城と屋敷・田と原・地蔵や観音・社寺・地名・禁忌などに分けて、松本・塩尻・安曇野・大町・北安曇・木曽に伝わる言い伝えを短い条で並べる。抜き出しの際に多くの条から採集地の表示が落ちており、土地の名が本文に書かれない条も少なくない。