わが子の声が届かなかった母の淵
どんな伝承か
正沢川の途中にある淵をつんぼ淵と呼んだ。ある時、耳の聞こえない母親が、川の向こう岸に置いた子に乳房を振って見せた。子は乳を見て淵のふちまで這い寄り、川へ落ちてしまった。子は泣き叫んだが母には聞こえず、とうとう溺れ死んだ。それを見た母親も川に身を投げて死んだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
長野県史 民俗編 第3巻 3 (中信地方 ことばと伝承)(長野県史)
『長野県史 民俗編 第3巻(三) 中信地方 ことばと伝承』は、長野県史の民俗編のうち中信地方の巻から、伝説の章を抜き出したものである。木・石・水・塚・坂と道・城と屋敷・田と原・地蔵や観音・社寺・地名・禁忌などに分けて、松本・塩尻・安曇野・大町・北安曇・木曽に伝わる言い伝えを短い条で並べる。抜き出しの際に多くの条から採集地の表示が落ちており、土地の名が本文に書かれない条も少なくない。