女人禁制の山で岩にされた老婆
どんな伝承か
上有住の檜山に、口やかましく勝ち気な老婆がいた。日ごろやり込められていた若者たちが、女人禁制の五葉山には登れまいとからかうと、老婆は着物の裾をからげて本当に登り始め、あわてて止めても聞かなかった。村は大騒ぎになり、若者たちは古老に叱られた。翌日の午後になっても老婆が戻らないので若者たちが探しに出ると、天狗岩のところに見覚えのない大岩がにょっきり立っていた。ここには不心得な参拝者を懲らしめる天狗がいると言われており、禁を破った老婆は岩にされたのだと皆は驚き、その岩を姥石と呼ぶようになったという。『気仙郡古記』にも、登山した女が落ちてきた大石に打ち殺された所を姥石というとある。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
住田町史 第6巻 (民俗編)(住田町史)
『住田町史 第6巻(民俗編)』は、岩手県気仙郡住田町の町史の民俗編から、伝説の節を抜き出したものである。地名・石や岩や水・長者や旧家・社寺や祠堂の四つに分けて、山姥のような老婆と和尚の大股・小股、石にされた姥、河童の頼んだ手紙、櫃割長者の大蛇、座敷わらしなどの言い伝えを収める。世田米・上有住・下有住の集落や山に結びついた話が中心である。