今櫛池に入水して竜神となった照日の前
どんな伝承か
比婆郡の西城町と比和町の境に今櫛山という山があり、頂上の近くに今櫛池という池がある。元禄のころ、宮景盛の娘の照日の前が恋に破れてこの池に身を投げ、竜神となって天へ昇ったという。日照りの年にはここで雨乞いの踊りを奉納し、池の中の島にある弁天社から小さな蛇が出て泳ぎまわると、きまって雨が降るといわれる。池は女人禁制で、山はもと朝日山と呼ばれていた。供養を受けた照日姫はもとの姿を現し、身の上を嘆く歌を詠んで消えたので、父母は江富の堂に三十三観音を寄進したと伝わる。
原典より
池の中央にある島の弁天社から小蛇が出て游行すると、必ず雨がふる。—— 広島県史 民俗編――伝説の分布(広島県(編)・広島県史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
広島県史 民俗編――伝説の分布(広島県(編)・広島県史)
『広島県史 民俗編――伝説の分布』は、広島県が編んだ県史民俗編のうち、「休養と娯楽」の部に置かれた「伝説の分布」の章である。八幡信仰にかかわる聖蹟伝説や炭焼長者、厳島をめぐる石神やうつぼ船の伝説、和泉式部・虎御前・菖蒲前を語り歩いた巫女の伝説、人柱や竜蛇の伝説などを、『芸藩通志』『福山志料』などを引いて論じる。「八幡信仰の流れ」「厳島伝説の周辺」「巫女と伝説」「県北の伝説」の四節からなり、伝説の名を見出しに立てて所在地とともに述べる。