河童の砂金と下女のなべ岩
どんな伝承か
世田米の火石には長どろと呼ばれる静かな川があり、そのほとりの家が栄えて長者になった。ある夕方、長者の家の下女おなべが川で洗濯をしていると、腹の大きな河童が現れ、お産を軽くするソバ粉を袋いっぱいくれたら礼に砂金をやると頼んだ。おなべは毎晩少しずつソバ粉をためて淵に置き、やがて同じ袋が砂金を詰めて返ってきた。ところが厳しいおかみに見つかり、盗んだのだろうと毎日責められ打たれた。河童に訳を話そうと待っても現れず、おなべはついに川へ身を投げた。まもなく川の真ん中に鍋の形の岩が現れ、人々はなべ岩と呼んだ。長者の家はその後まもなく衰えて離散したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
住田町史 第6巻 (民俗編)(住田町史)
『住田町史 第6巻(民俗編)』は、岩手県気仙郡住田町の町史の民俗編から、伝説の節を抜き出したものである。地名・石や岩や水・長者や旧家・社寺や祠堂の四つに分けて、山姥のような老婆と和尚の大股・小股、石にされた姥、河童の頼んだ手紙、櫃割長者の大蛇、座敷わらしなどの言い伝えを収める。世田米・上有住・下有住の集落や山に結びついた話が中心である。