岩に三日月が映る月夜権現
どんな伝承か
上有住の小松に伝わる月夜権現は、大家にあたる小松家の氏神で、集落十八戸の氏神でもある。祭神は平重盛と伝えられるが、この地との縁は分からず、気仙郡がかつて重盛の荘園だったことと関わるのかもしれないという。権現の向かいには大きな一枚岩がそびえ、樹齢二、三百年の老松が立ち、月夜にはこの岩に三日月が光って見えることから名が付いたと伝わるが、なぜ見えるのかは分からない。二百メートルほど先には上の穴・下の穴という鍾乳穴があり、昔は乞食の宿となって派手な婚礼の宴も開かれたという。犬を追い込んだら綾里に抜けたとも言われ、奥には深い地底湖があり、人骨も多く出ている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
住田町史 第6巻 (民俗編)(住田町史)
『住田町史 第6巻(民俗編)』は、岩手県気仙郡住田町の町史の民俗編から、伝説の節を抜き出したものである。地名・石や岩や水・長者や旧家・社寺や祠堂の四つに分けて、山姥のような老婆と和尚の大股・小股、石にされた姥、河童の頼んだ手紙、櫃割長者の大蛇、座敷わらしなどの言い伝えを収める。世田米・上有住・下有住の集落や山に結びついた話が中心である。