馬を引く丈ヶ淵の河童
どんな伝承か
昔、世田米の丈ヶ淵には年老いた河童がすみ、泳ぐ子どもを川底へ引き込むので、誰も淵に近寄らなかった。ある夕方、近くの万蔵寺の寺男茂作が馬の足を洗いに河原へ来ると、河童が馬の尾をつかんで水へ引き込もうとした。茂作は手綱で打って追い払い、寺へ帰った。その夜、馬屋で馬が暴れるので飛び出すと、昼の河童が馬屋まで来て尾を引っぱっていた。茂作が棒で頭の皿を叩くと水がこぼれ、河童は力が抜けて座り込み、涙をこぼした。哀れに思った茂作は、もう子どもにいたずらをしないと約束させて逃がしてやった。それからは丈ヶ淵で河童を見た者はいないという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
住田町史 第6巻 (民俗編)(住田町史)
『住田町史 第6巻(民俗編)』は、岩手県気仙郡住田町の町史の民俗編から、伝説の節を抜き出したものである。地名・石や岩や水・長者や旧家・社寺や祠堂の四つに分けて、山姥のような老婆と和尚の大股・小股、石にされた姥、河童の頼んだ手紙、櫃割長者の大蛇、座敷わらしなどの言い伝えを収める。世田米・上有住・下有住の集落や山に結びついた話が中心である。