生きながら穴に入った不白の塚
どんな伝承か
昔、間山の菅田にあった薬師堂に、不白と呼ばれる徳の高い僧がいた。非業の死を遂げた親の仇を討つため諸国を巡るうち、仇討ちを重ねても人の苦しみは消えないと悟って仏門に入った人だという。間山では薬師堂を守り里人に慕われたが、何年か後のある日、生きたまま仏になりたいので止めないでほしいと言い残し、堂の脇の深い穴に入った。何十日も穴の底から読経と鐘の音が聞こえたが、やがて途絶えた。里人は嘆き悲しんで穴を大石でふさぎ塚を築いた。そばの法華塔には『不白血書』の文字が刻まれている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
長野県史 民俗編 第4巻 3 (北信地方 ことばと伝承)(長野県史)
『長野県史 民俗編 第4巻(三)北信地方 ことばと伝承』は、長野県史の民俗編のうち北信地方の伝説の章を抜き出したものである。植物・石・水・塚・坂と峠・山・沢と道・城と屋敷・田と原・地蔵や観音・社寺・地名・禁忌の順に、条ごとに採集地を添えて短い伝えを並べる。戸隠の鬼女紅葉、黒姫と大沼池の大蛇、久米路橋の人柱、秋山郷の平家伝説など、善光寺平から奥信濃にかけての土地に結びついた話が多い。