高梨に隠れ住んだ蠣崎一族の末裔
どんな伝承か
むつ市関根の高梨は二十八戸ほどの小さな集落で、そのうち七戸が田中姓を名乗る。村人の言い伝えでは、田中家の先祖は蠣崎の乱に敗れた蠣崎氏の一族で、はじめは高の平と呼ばれた山あいの高梨川目に逃れて身を潜め、安東氏を名乗っていたという。宝暦年間に集落の春日神社を改修したときの棟札には安東氏の名が見え、蒼前堂の石碑にも安藤某を別当とする刻字がある。明治の戸籍制度の折には安渡と名乗ったが、本家は跡継ぎがなく絶え、家系は分家の田中家に伝わったといわれる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
むつ市史 民俗編(むつ市史)
『むつ市史 民俗編』の口承の章から、下北に伝わる伝説と世間話を抜き出したものである。苫生野や田名部川の口碑、蠣崎氏や落人の宝の伝え、恐山の開基と天狗・霊話、常念寺の仏、横迎町の竜神と河童、行人塚、半太窪、飯綱の噂、奥内・関根・大湊・田名部の狐の話などを収める。菅江真澄の紀行の記事を引きながら、むつ市とその周りの土地の伝えをまとめている。