追いつけない傘の男
どんな伝承か
あるとき中井がお山へ登る途中、小雨の中を歩いていると、前を知り合いが傘をさしてすたすたと歩いていた。声をかけても振り向かず、走って追いかけてもいっこうに追いつけず、かえって離れていくようだった。やがて知人は寺の中へ入っていった。中井も寺に入り、いま傘をさした男が来ただろうと尋ねたが、誰も来ていないという。このときも知人の霊を見たのだろうと言われた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
むつ市史 民俗編(むつ市史)
『むつ市史 民俗編』の口承の章から、下北に伝わる伝説と世間話を抜き出したものである。苫生野や田名部川の口碑、蠣崎氏や落人の宝の伝え、恐山の開基と天狗・霊話、常念寺の仏、横迎町の竜神と河童、行人塚、半太窪、飯綱の噂、奥内・関根・大湊・田名部の狐の話などを収める。菅江真澄の紀行の記事を引きながら、むつ市とその周りの土地の伝えをまとめている。