大石を一人で転がした行者と摩利支天
どんな伝承か
小川町で祀られる摩利支天は円通寺の持ちとされるが、明治のころには、どちらに属するかで争いが起きたこともある。その起こりは昔、諸国を行脚して布教する偉い和尚が田名部へ来たときにさかのぼる。和尚は道元とも、その弟子とも言われる。ちょうど小川町の人々が道をふさぐ大石を片付けようと大勢で取りかかっていたが、石はびくともしなかった。和尚の供をしていた行者がそれを見かね、ただ一人で大石を押し転がして道端へ寄せてくれた。行者は町の人々に請われてここに住みつき、摩利支天を祀り、死後は自らも神として祀られたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
むつ市史 民俗編(むつ市史)
『むつ市史 民俗編』の口承の章から、下北に伝わる伝説と世間話を抜き出したものである。苫生野や田名部川の口碑、蠣崎氏や落人の宝の伝え、恐山の開基と天狗・霊話、常念寺の仏、横迎町の竜神と河童、行人塚、半太窪、飯綱の噂、奥内・関根・大湊・田名部の狐の話などを収める。菅江真澄の紀行の記事を引きながら、むつ市とその周りの土地の伝えをまとめている。