薄雲を斬った男と薄雲坂
どんな伝承か
薄雲は赤湯の湯屋で働いていた女の名で、たいへんな美人だったので客が大勢ついた。米沢から来た松下仙也もまた男ぶりがよく、二人はいつしか恋仲になった。だが仙也には家が決めた許嫁がいて、噂はやがて仙也の母の耳に届く。母は赤湯まで出向いて薄雲に強く迫り、薄雲は仙也の将来を思って身を引くことにした。そうとは知らずか、急によそよそしくなった薄雲に腹を立てた仙也は後を追い、首を横に振る薄雲を一刀のもとに斬り殺した。我に返って懐を探ると、遺書が出てきた。何年か後、その坂のふもとで経を読む僧がいたが、それこそ仙也だったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
南陽市史 民俗編
『南陽市史 民俗編』の伝説の節を抜き出したものである。山形県南陽市の白竜湖の由来と東正寺の僧の話、金沢の三坂(七両坂・泣坂・薄雲坂)、猫の宮の猫、二色根薬師、赤湯温泉の起こり、吉野の大黒岩と千人塚、珍蔵寺の鶴、三堀観音などを収める。置賜盆地の湖と温泉と山の寺にまつわる伝えが中心である。