灯が消えて知れた渡米者の死
どんな伝承か
昭和八年、日本が国際連盟を脱退したのち、新渡戸稲造は日米関係を修復しようとして個人の資格で渡米する決意を固めた。その手紙を受け取った佐藤法亮尼が祈祷を始めると、風もないのに蠟燭の灯が消えた。法亮尼は初対面のとき、この人は国のために重要なことをなす人で、遠い異国で命を落とすかもしれないと感じたことを思い出し、出発をやめるよう手紙で告げたが、新渡戸の決意は動かなかった。十月十二日、カナダの病院から持病が悪化した、手術をしてよいかという電報が届く。手術すればその場で死す、しなければ余命ありと打ち返したが間に合わず、十五日、稲造は世を去った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
あの世はあった―文豪たちは見た、ふるえた(三浦正雄・矢原秀人・2006年(平成18年))
『あの世はあった――文豪たちは見た!ふるえた!』は、三浦正雄と矢原秀人が二〇〇六年に著した、近代日本の作家や知識人の霊体験を紹介する読み物である。熱海の旅館で遠藤周作と三浦朱門が同時に遭った幽霊、佐藤愛子の心霊現象、菊池寛・宮沢賢治・小泉八雲・土井晩翠・新渡戸稲造・南方熊楠らの体験、夏目漱石の臨死体験を、本人や周囲の文章を引いて語る。一人一章の全十二章にまえがき・あとがきを添え、巻末に霊媒クランドン夫人の実験記録を付録として収める。