孝行息子の汲む水が酒になる強清水
どんな伝承か
新倉を流れる越戸川の上流には、強清水と呼ばれる湧き水にまつわる話が伝わる。昔、雑木林に囲まれた寂しい里に貧しい農家があり、寝たり起きたりの老父を二十歳ばかりの息子が一人で養い、夜明け前から日暮れまで野良仕事と世話に追われていた。ある暑い夏の日、裏山で薪を集めて下りかけた息子は水の音に気づき、窪地から冷たい清水がこんこんと湧くのを見つけた。竹筒に汲んで持ち帰り父に飲ませると、それは上等の酒に変わっていた。父は大いに喜び、息子はそれから毎日のように山へ通っては水を汲んできたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
和光市史 民俗編
『和光市史 民俗編』の伝説と昔話の章から、伝説の節を抜き出したものである。埼玉県和光市の下新倉・新倉・白子に伝わる、妙典寺の子安池と楊枝柳、孝行息子の汲む水が酒になった強清水、白子地福寺の枕返し地蔵、吹上観音の火中出現と観命尼の焼身、新羅三郎義光の笛の伝説などを、異伝と出典を添えて収める。市史の編者がそれぞれの伝説の成り立ちを論じる文章が多い。