漱石、修善寺で大吐血し危篤
どんな伝承か
夏目漱石は『門』を書き終えた後、胃潰瘍のため伊豆の修善寺温泉へ転地療養に出た。ところが療養は逆効果になり、八月二十四日に大吐血して危篤に陥った。かねて神秘や不思議に強い関心を抱きながら、これといった神秘体験のできなかった漱石は、この事件で意識を失い、幽体離脱寸前ともいうべき不思議な世界に入り込むことになる。大吐血の後五、六日と経たないうちから時々一種の精神状態に陥り、やがて毎日のように同じ状態を繰り返し、ついには来る前からそれを予期するようになったと自ら書き残している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
あの世はあった―文豪たちは見た、ふるえた(三浦正雄・矢原秀人・2006年(平成18年))
『あの世はあった――文豪たちは見た!ふるえた!』は、三浦正雄と矢原秀人が二〇〇六年に著した、近代日本の作家や知識人の霊体験を紹介する読み物である。熱海の旅館で遠藤周作と三浦朱門が同時に遭った幽霊、佐藤愛子の心霊現象、菊池寛・宮沢賢治・小泉八雲・土井晩翠・新渡戸稲造・南方熊楠らの体験、夏目漱石の臨死体験を、本人や周囲の文章を引いて語る。一人一章の全十二章にまえがき・あとがきを添え、巻末に霊媒クランドン夫人の実験記録を付録として収める。