西へ西へと言い当てた下宿寺の和尚
どんな伝承か
夏目漱石は大学を出たころ、小石川のある寺に下宿していた。その寺の和尚は看板こそ出さないものの易占を内職にしており、あるとき話が人相や方位に及んだ。漱石が冗談半分に自分の未来を尋ねると、和尚はじっと顔を見つめてから、大して悪いこともありませんなと答え、続けて親の死に目には会えない、西へ西へ行く相があると告げた。実際に漱石は一年たたぬうちに松山へ移り、熊本を経てロンドンへ渡る。母は同じ東京にいながら臨終に間に合わず、父の訃報も熊本で電報として受け取った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
新霊交思想の研究――新スピリチュアリズム・心霊研究・超心理学の系譜(田中千代松・田中千代松・心霊研究)
『新霊交思想の研究――新スピリチュアリズム・心霊研究・超心理学の系譜』は、田中千代松が著した思想史の研究書である。死者の霊との交信を説く新スピリチュアリズムと、そこから生まれた心霊研究、さらに超心理学までの系譜を、社会思想史の観点から科学と宗教の闘争史としてたどる。全七章と結語から成り、欧米での勃興、SPRとASPR、マルクス主義からの攻撃、井上円了と福来友吉、ラインの実験と超心理学の限界を順に論じる。