勇坊ちゃんのキツネ憑き
どんな伝承か
昭和十九年十月のある日、十六歳の次男勇は自室で友人と話しているうち、急に身体が自分の意識で動かなくなった。金縛りとは違い、ひとりでに身体が勝手に動くのである。坐ったままぴょんぴょんと跳ね、突然四つん這いになって駆け回り、犬がちんちんをするような格好をした。友人は初めふざけているのかと思い、そうでないと分かると源兵や女中を呼びに来た。誰が話しかけても言葉は通じない。やがて数分でその状態から覚め、正気に戻った。以後、何日かに一度そうなるのを繰り返し、人々はキツネ憑きだといった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
恐怖の事実と悪霊を除く法-本間家の話(中岡俊哉・昭和30~40年代(推定))
本書は千葉県館山市の本間家を舞台にした実例的怪談である。明治時代に栄えた網元・本間家は、大正~昭和初期に長女ふでが神かくしで失踪したことを皮切りに、呪いに見舞われる。昭和19年から本格化した悪霊の祟りにより、家族は原因不明の奇病、憑依、夢遊病、発狂、自殺・他殺による死亡が連続する。行者の指摘により、床下に隠された血で描かれた100年以上前の自画像が呪いの根源であることが判明するも、お祓いは手遅れ。