勇坊ちゃんのキツネ憑き
どんな伝承か
昭和十九年十月のある日、十六歳の次男勇は自室で友人と話しているうち、急に身体が自分の意識で動かなくなった。金縛りとは違い、ひとりでに身体が勝手に動くのである。坐ったままぴょんぴょんと跳ね、突然四つん這いになって駆け回り、犬がちんちんをするような格好をした。友人は初めふざけているのかと思い、そうでないと分かると源兵や女中を呼びに来た。誰が話しかけても言葉は通じない。やがて数分でその状態から覚め、正気に戻った。以後、何日かに一度そうなるのを繰り返し、人々はキツネ憑きだといった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
恐怖の事実と悪霊を除く法-本間家の話(中岡俊哉・1976年(昭和51年))
『恐怖の事実と悪霊を除く法-本間家の話』は、中岡俊哉が一九七六年に著した『悪霊があなたを狙う』(双葉社)のうち、まえがきと目次、第一話「“幽霊屋敷”悪霊のたたり」を収めたものである。千葉県館山市上野原の網元本間家で、娘の神隠しを発端に一家が絶えるまでの出来事を、元下男の源兵じいさんが著者に語った聞き書きの形で記す。目次によれば原本は悪霊憑依の実話十一話を二部に分け、終わりに霊魂の存否と悪霊対策を論じる章を置く。