調布の船頭小屋が生んだ雪女の幻
どんな伝承か
著者は凍死のさいの幻覚のうち最も純粋で美しいものとして、ハーンの「雪女」を挙げる。長く山陰の木こり小屋を舞台と思い込んでいたが、『怪談』を読み直し、自分が十年住んだ調布で採録された話だと初めて知ったという。巳之吉らが吹雪に閉じ込められた船頭小屋は、多摩川岸の菅から川崎市の民家園に移されて今も見られる。雨戸と障子を戸板で留めただけの粗末な造りで、これでは吹きさらしと変わらず、体力の弱い茂作老人が凍死したのも道理だという。雪女の幻影は、眠りに落ちかけた巳之吉が見た幻覚だと著者は説く。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
怪談の科学――幻覚の心理を探る(中村希明・中村希明・精神医学・昭和(精神医学))
幽霊や怪異を脳と心理(幻覚)の科学で解明する。