水をかけてくれと頼んだ髑髏の夢
どんな伝承か
品川区と大田区の境、旧東海道が国道と交わる三角地に鈴ヶ森の刑場跡があり、大経寺の境内として題目塔や首洗い井戸が残る。道路拡張のため跡地を後退させる工事が始まり、人夫が大量の髑髏を掘り当てた。ほぼ形の残る二つを日なたに置いておくと、数日後、寺に寝ていた住職の妻の夢に、髷を結った侠客風の男が二人現れ、こう幾日もさらされては暑いから水をかけてほしいと頼んで消えた。驚いた彼女が日陰をつくり朝夕水をかけると、三日後に二人は鳳凰の姿で再び夢に立ち、題目塔をめぐって空へ去った。話は区役所にも伝わり、盛大な供養が営まれることになった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談集 幽霊篇(今野圓輔・今野圓輔・日本怪談集・1969年(昭和44年))
『日本怪談集 幽霊篇』は、今野圓輔が昭和四十四年に編んだ幽霊体験談の集成である。新聞・雑誌・単行本や民俗の報告、編者自身の採集から、影や物音、人魂、生霊、死の知らせ、皿屋敷、戦死者の霊、船幽霊、タクシーに乗る幽霊など、日本各地の人びとが見聞きした怪異を、作家の創作を除き原文を尊重して再録する。十章に分けて各章の頭に編者の解説と注を置き、巻末に産女や子育て幽霊を論じた「幽霊外伝」と木原浩勝の解説を付す。