急カーブに立った生前の母堂
どんな伝承か
正西寺の住職八幡義孝の自動車が、山道の急なカーブにさしかかったときのことである。突然、前方に生きているはずの母堂の姿が見えたので、運転手はあわてて急ブレーキを踏んで車を止めた。奇異の念を感じ、ふたりで車を降りて前の方へ歩いて行ってみると、そこの崖が崩れている。そのまま走っていたら車もろとも崖下に転落死するところであった。バックして回り道をして寺へ帰ると、当の母堂が義孝の身を心配して門口まで出て待っていたという。編者は、寺方の経験談はなるべく採らない方針だが、この間柄では創作法話もすまいとして記録に収めた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談集 幽霊篇(今野圓輔・今野圓輔・日本怪談集・昭和(怪談集成))
日本各地の幽霊・人魂・生霊の実話怪談を十章+幽霊外伝に分類して集成する。