伊江島ハンドーグワーの祟り
どんな伝承か
島仲に捨てられた辺戸名村のハンドーグワーは、同情した船頭の船で伊江島へ渡り、富豪の島仲家を訪ねた。だが若旦那には妻がいると知らされ、大旦那には山原の百姓娘がと罵られて追い返された。娘は日暮れに裏山に登り、故郷の灯を望みながら呪いの言葉を残して、榕樹の枝で首を吊った。仮病だった息子はその晩から本当に病みつき、初七日の夜、看病の場に黒髪を乱した女が立った。大旦那が刀で斬りつけると倒れたのは嫁で、なおも幽霊に斬りかかるたびに息子、老妻を斬り、最後は自分の喉を突いて一家は絶えた。屋敷はその後住む人もなく草に覆われているという。
原典より
悲鳴をあげて、幽霊がぶっ倒れたので、大旦那は、ざまみろ、といいながら、行燈に灯をとばしてよくみると、斬られたのは幽霊ではなく、大切な嫁であった。—— 沖縄怪談集 逆立ち幽霊(伊波南哲) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
沖縄怪談集 逆立ち幽霊(伊波南哲)
『沖縄怪談集 逆立ち幽霊』は、石垣島で育った詩人の伊波南哲が、新聞や雑誌に書いた話と書きおろしを合わせ、沖縄の怪談を物語風に綴った怪談集である。那覇の辻遊廓や一日橋、首里、石垣島・竹富島などを舞台に、遊女や捨てられた女の幽霊、遺念火、キジムナー、お化け封じの術を描き、戦後のタクシー幽霊の噂や東京で起きた位牌の嫁入りの話も取り上げる。題を付けた二十二話のあとに「怪談断片集」を置き、少年時代を語る「果たして幽霊はいるのか」で結ぶ。