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温泉岳の沼の主と猟師の子

所在地長崎県島原市
年代寛政四年(眉山山崩れ)
登場猟師某・温泉岳の沼の主(大蛇の女)
出典炉辺叢書 筑紫野民譚集

どんな伝承か

筑紫野の尽きるところ、有明海をへだてて温泉岳が聳える。昔その麓に狩猟で暮らす某のもとへ一人の婦人が来て一夜の宿を求め、やがて夫婦となった。懐妊した婦人は産室を覗くなと言うが、某が誓いを破って覗くと、大蛇が産んだ赤兒を巻いていた。婦人は温泉岳頂上の沼の主であると打ち明け、子を養えと右の眼を抜いて渡し姿を消す。眼玉は魔法を弄ぶ者として二度島原の藩庁に没収され、大蛇は危険を告げ逃れる方向を教えた。その後、寛政四年に眉山が山崩れを起こし、島原の町の大半は土砂に埋もれ、海に入った土砂が沖に四十八島をつくったと伝わる。

原典より

つひに誓を破つて産室をうかゞふここはそも如何に恐ろしい大蛇が産んだ赤兒を中にしてぐるぐる巻いて居る。—— 炉辺叢書 筑紫野民譚集(及川儀右衛門・1923年(大正12年)) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

炉辺叢書 筑紫野民譚集(及川儀右衛門・1923年(大正12年))

『炉辺叢書 筑紫野民譚集』は、及川儀右衛門が筑紫野で暮らした二年ほどの間に、土地の故老や下宿の老婆から聞いた話、教え子が書き送ってきた物語を文献とも照らしてまとめた民譚集である。筑後を中心に筑前・肥前・肥後・豊前・豊後の河童、怪火、長者の話、神事と歌舞、山と水の伝奇、狐狸や幽霊の怪異を六篇に分けて収め、多くの話に古記録を引いた〔註〕を添える。序の日付は大正十二年六月である。

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