三百六十枚の乾板に一分で写った過去
どんな伝承か
大正六年三月二十八日の晩、のちに弁護士となった著名な人物の家で、三百六十枚もの乾板を使う霊写の実験が行われた。乾板は三十打で、その家の夫妻が分けて持っていた。日光氏が全部の膜面に変化を及ぼすのに要した時間は、わずか一分あまりだったという。現像してみると、その人物がかつて裁判官を務めていたためか、当時扱った様々な出来事が乾板のすべてに現れていた。氏は以前から、何千枚の乾板であっても膜面を変えられると確信していたが、この実験によってそれがいっそうはっきりしたと筆者は記している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心靈寫眞の研究(大和田徳義・1920年(大正9年))
『心靈寫眞の研究』は、大和田徳義が大正九年に著した心霊写真の研究書である。英国の心霊現象研究会以来の肯定説と否定説、マムラーやホドソンら諸外国の心霊写真の歴史をたどったうえで、東京の心霊写真家日光氏が始めた「霊写」の種類と実験例、福来友吉と長尾郁子による念写の実験とその批判を述べる。自序と全八章、「結び」からなり、霊写を物理・化学・心霊の三つの特性から論じ、念写とは能力や美術・宗教上の価値が異なると説く。