入海の主の白馬と飼育の禁忌
どんな伝承か
追波川が太平洋へ注ぐ河口から南へ四キロほど、弘象山を望む位置に、湖と見まがう静かな入海が広がる。西北の一部が平野に開くほかは三方を山に囲まれ、隠沼のような神秘さをたたえている。昔からこの入江の主は白馬だと語られ、いちばん深い中央に立って、頭を西へ、尾を東へ向け、入海を治めて周囲の村を守っていたという。頭の向く西の集落を長面、尾の向く東の集落を尾ノ崎と呼ぶのはそのためだと伝える。この二つの集落では白馬を飼うことが固く禁じられ、破れば海が荒れて不漁が続き、その家に災いが起こるといって恐れられた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
宮城県史 民俗編(茂木徳郎(「妖怪 幽霊」の章)・宮城県史シリーズ)
『宮城県史 民俗編』は宮城県の県史の民俗編で、ここに収めるのは茂木徳郎が執筆した章「妖怪 幽霊」である。山・道・木・水・海・雪・家など出現の場所による分類に沿って妖怪変化を論じ、幽霊とヒトダマ・死霊・生霊の観念を考えたうえで、県内の妖怪・幽霊・動物変化の伝承を郡・町村名を添えて集める。序説・本論・事例篇・参考の順に並び、序説では昭和二十四年の迷信調査と昭和三十年のNHK仙台中央放送局の調査にも触れる。