念写を唱えて職を追われた東大教授
どんな伝承か
写真の普及とともに、死者の霊が写り込むという心霊写真が取り沙汰されるようになった。霊の存在の証明になると考える者も現れたが、多くは仕掛けと分かり相手にされなくなる。では仕掛けによらず超能力で写るものはないのか。日本の福来友吉は一九一〇年、心の働きで感光や撮影が起こりうるとして念写を唱えた。この語は外国の文献では thoughtgraphy と訳される。福来は明治期の東大教授で超心理学に関心を寄せていたが、念写が世間を騒がせ、科学思想の移植が重んじられた時代に迷信を勧める者と見なされて教授の職を去った。彼は三枚重ねた乾板の中央の一枚だけに文字を念写させ、放射線によるものでないことを示した。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
超能力の世界(宮城音弥・1985年(昭和60年))
『超能力の世界』は、心理学者の宮城音弥が、かつての著書『神秘の世界』を全面的に改訂して著した超心理学の概説書で、序に一九八五年四月の日付がある。テレパシーと透視、念力、ポルターガイストと念写、未来の予知、死後の生存を扱い、パイパー夫人ら超能力者の事例と実験・統計による研究の両方を紹介する。六章と結語から成り、意識的・無意識的なサギの問題にも一章を割く。