夢殿で金人に教えを受けた聖徳太子
どんな伝承か
扶桑略記によると、聖徳太子は経の意味に疑問が生じると法隆寺の夢殿にこもり、そこで東の方から来る金色の人から優れた教えを授けられたという。著者はこれを、ソクラテスが迷うたびに耳元で忠告をささやいたという霊魔の声と同じく、思いが姿や声となって現れる幻視の奇蹟の一つとみている。そのうえで、こうした守護神のたぐいも一種の憑霊であり、日本の死に神や西洋の生き神と同じく、幻覚が霊として形をとったものだと説いている。
原典より
我国では聖徳太子が疑義のある時は、法隆寺の夢殿のなかにはいられて、そこで東方から来る金人によって妙義を教示せられたというのも(扶桑略記)、これと同じ性質の幻視的な奇蹟である。—— 心霊現象の科学(小熊虎之助・1974年(昭和49年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊現象の科学(小熊虎之助・1974年(昭和49年))
『心霊現象の科学』は、小熊虎之助が心霊現象を科学の立場から論じた研究書で、序とあとがきに昭和四十九年四月の日付がある。コックリ・自働書記・読心術・憑きものなどを心理学で説ける偽心霊現象とし、精神感応・交霊・千里眼・心霊物理現象を真実の心霊現象として心霊現象研究会の報告から吟味する。福来友吉が能力者とした三船千鶴子・長尾夫人・高橋夫人・三田光一の透視と念写は山川健次郎らの実験と照らして疑い、あとがきでは井上円了以来の研究史を概説する。