龍田川の鳴動を鎮めた中将姫
どんな伝承か
中将姫が十三歳のとき、淳仁天皇は姫を後宮に迎えようとしたが、姫は辞退した。折しも龍田川が鳴動していたため、天皇は鳴動を鎮めれば後宮に入らずともよいと言い渡す。姫は川へ赴いて一心に祈り、多くの石を取り寄せて「浪はよし龍田の川に音なくて天の皇の悩みやすめよ」と書きつけ、川へ投げ入れた。すると鳴動はたちまち止んだ。そこへ白髪の老人が現れ、自分は龍田の明神であり、姫を招くために川を鳴らしたのだと明かし、ともに国の安穏を祈ろうと告げて姿を消したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第9巻』は、日本伝説大系編集委員会が編んだ伝説資料集の一巻である。三重・奈良・和歌山・大阪の各地に伝わる伝説を、三輪山・安珍清姫・弘法清水・油掛け地蔵など百余りの話型ごとに集める。各話型は例話を冒頭に据えて『日本伝説名彙』などとの対応を示し、〔類話〕に伝承地と出典つきの梗概を並べ、〔文献〕に近世以前の史料の原文を添えて補う構成をとる。