古今著聞集の礫を打つ怪
どんな伝承か
『古今著聞集』に、我が国の騒ぐ幽霊の古い記録として次の話が見える。三条の前右大臣の白河の亭に、どこからともなく礫を打つことが雨のようにあり、人々は怪しみ驚いたが、何の仕業とも分からなかった。次第に激しくなり、一日一夜に盥二杯ほども打ち込まれた。どうすれば止められるかと人々がさまざまに議論しても妙案が出ないところへ、ある田舎侍が、止めるのはたやすいこと、殿方はめいめいに狸を集め、また酒を用意されよと申し出た。そのとおりにしたところ、以後、礫を打つことはやんだという。
原典より
三条の前右のおとどのしらかはの亭に、いづこより共なくてつぶてをうちける事雨の如し。—— 心霊現象の科学(小熊虎之助・1974年(昭和49年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊現象の科学(小熊虎之助・1974年(昭和49年))
『心霊現象の科学』は、小熊虎之助が心霊現象を科学の立場から論じた研究書で、序とあとがきに昭和四十九年四月の日付がある。コックリ・自働書記・読心術・憑きものなどを心理学で説ける偽心霊現象とし、精神感応・交霊・千里眼・心霊物理現象を真実の心霊現象として心霊現象研究会の報告から吟味する。福来友吉が能力者とした三船千鶴子・長尾夫人・高橋夫人・三田光一の透視と念写は山川健次郎らの実験と照らして疑い、あとがきでは井上円了以来の研究史を概説する。