髪が蛇に化す蛇ヶ渕の娘
どんな伝承か
三岳の見出しで語られる蛇ヶ渕の話。昔、猟師の娘に恋仲の若者がいたが、男は別の娘に心を移し、お前の髪が赤いから嫌いだと告げた。娘は髪が黒くなりたいと泣き、西野川の上流にある渕の水で洗えば黒くなると教えられて、一人で渕へ出かけた。ところが渕の主に気に入られ、無理やり嫁にされてしまった。いまも時折この渕で髪を洗う音がし、そっと覗くと女が髪を洗っているが、その髪は一本ずつ小さな蛇に変わるという。この渕を蛇ヶ渕と呼ぶ。
原典より
密かに覗き見すると女が髪を洗っているが、その髪の毛は一本ずつ小さな蛇に化身するという。—— 怪談の世界(山田野理夫・1978年(昭和53年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
怪談の世界(山田野理夫・1978年(昭和53年))
『怪談の世界』は、山田野理夫が昭和五十三年に著した怪談の研究随筆である。遠野での佐々木喜善と柳田国男の出会いから説き起こし、家・山・木・石・道・水・火に現れる妖怪、憑き物、鬼と天狗、生霊・死霊・幽霊の話を、著者の聞き書きや各地の民俗資料、古典・芝居から集め、沖縄の話で結ぶ。章立ては江馬務と柳田国男の妖怪分類を参考にしたもので、民俗学の資料と文学作品の両面から怪談をとらえようとしている。